自閉症児の得意なこと

 

「先生、昨日学校からの帰り道、工事中だっ

たので大変でした。もうあんな思いはこりごりです」
 
と自閉症児のA君のお母さん。
 
聞けば下校時のいつもの道が工事中で迂回
 
指示が出ていました。健常児なら、
 
「あっそうか。工事中だからこの道は歩けないんだ」と理解出来ます。
 
しかしA君は、「毎日同じ道を通っているのにどうして?そんなの嫌だ!」と言わんばかりに
パニックになり、大泣きしたそうです。
 
自閉症児は決まった事は、受け入れ易いのですが、イレギュラーなことが苦手です。
 
例えば「今日は全校集会があるので午後の
 
音楽の授業がありません。」
 
「2Bの鉛筆がないのでBの鉛筆を使ってね」などが、
 
「午後は音楽の授業だ」
 
「いつも2Bの鉛筆を使っている」
 
となると、それが受け入れられないのです。
 
「工事だから仕方がないや」
 
「そう言えば校長先生がお話しされるって言ってたね」
 
「2Bの鉛筆は売り切れみたい」
 
そのような理由は受け入れが難しいのです。
 
では一生、同じ道を通り、ずっとBの鉛筆を
使い続けるのか?
 
いえいえそんなことはありません。
 
あらかじめわかっている事柄は事前に伝えておきます。
 
「今日は違う道で帰ります」
 
「音楽の授業はありません」
 
「Bの鉛筆を使います」
 
そこには理由はなく端的に話します。
 
そして日々生活の中で、イレギュラーなことを
 
どんどん取り入れていきます。
 
服を着る順番を変えたり、身体を洗う順番を変えたりなんでもいいのです。
 
つまり習慣化、パターン化しないことが重要なのです。
 
私の教室もこのようなことをどんどん取り入れ
 
ています。いつもと違う本から弾いたり、もっ
 
と言えば曲の途中から弾く、カード練習も、順
 
番を変更します。必ず自閉症児でも、受け入れ
 
るようになります。