今から7、8年前N先生のお誘いの元に業界で有名なA先生のお忍びレッスンに誘われた。
放出から電車に乗り京橋で下車すると、「そうそう、もう一人先生も一緒に行くねん」とそこで初めてタカオッチを紹介された。
「タカオです」 ”くせ毛なんや・・”髪を耳の下で2つにぴょこんってくくってた私のタカオッチの第一印象だった。>「政田です」 終始無言でレッスン会場まで歩いていて、この二人大丈夫かなあ~とあの時は思った、と事あるごとにN先生は言うくらい、お互い雰囲気は暗かった?そう。
タカオッチは初めてで人見知り・・誰とでもそんなにすぐしゃべられへんというのがその時思ったことらしい。
そんな中、N先生抜きで私とタカオッチはそのお忍びレッスンに1年は通っただろうか。
ある日「政田先生(まだその頃はこう呼んでくれていた)発表会一緒にせえへん?
先生はパワフルで私一人ではとてもやる自信は無いねん・・」三木楽器の前でランチ中に彼女は言った。
ちょうど一人で2回発表会を開いた後だったし、二人もおもしろいかも・・と考えて「よっしゃ!やろう!」と即答したように覚えている。
大人しくてあまり表に立つことが苦手なタカオッチと、何でもすぐ思いつきで「それ取り入れよ」と深く考えずに行動するタイプの私とでは性格が全然違い、 そのたびに喧嘩をし、”あんたとはやってられへんわ・・”とお互い思ったことも1度や2度ではない。
私がピアノ業界にデビューしたのはかなり遅く、その中でいろんな先生達と知り合ったが正直ここまで一緒にやる友人にめぐり合うとは思わなかった。
と言うのは発表会というのは教室内の一大イベントで、これは方向性やお互いの 理解が無ければなかなか一緒に行えない。
たとえば私の生徒には障害児が多数いるが、もしも彼女がよりクオリティの高いものにしたいからちょっと・・・などと言えば無理だし、また一人1曲にしようとか連弾は無しにしようとかもちろん金銭的なことから場所からかなり、二人がやるので折り合いをつけなければ難しい。
またそこで”自分の意見”を言えないとこれも前に進まない。 「一緒にやるって難しくない?」と質問を受けるのはそうした多難さがみなわかっているからである。
「二人やから難しいこともあるし、二人やから出来ることもある」と答えてるけどやはりこの出来ることの意義が多いような気がする。
いつもどうしたら発表会は楽しんでもらえるかなあと思案し、タカオッチがトナカイになって飴を配 ったり?腰までのウイッグを付けたり?桜の造花を付けたり、はたまたマツケンを踊ったり?ヅラをかぶったり?と見事に変貌してくれることや紙や印刷やら記念品やらすべてを二人で考えているとこんなことも、楽しい出来事の一貫かもしれない。
人との出会いはどこにころがっているかはわからない。
私はこの出会いを大切にして、来月の発表会に望もうとしている。
さてさてタカオッチ次は何に変身してくれる?